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勝村政信プロフィール
俳優。「天才たけしの元気がでるテレビ」で注目を浴び、その後演劇活動をメインに行い現在に至る。飄々としたスタイルで芸幅の広さをアピールする一方、舞台演技の評価は高い。最近では「ラスト・クリスマス(フジテレビ)」、「HERO(フジテレビ)」、「義経(NHK)」等に出演し活躍している。趣味はサッカー、テニス、フィットネスなどスポーツ全般。
出演情報
レギュラー  TVasahi「ナサケのオンナ~国税局査察官~」 出演

毎週木曜21:00~21:54
ナレーション  NHK「スポーツ大陸 一歩一歩に魂こめて~競歩 山﨑勇喜~」 OA
10/16(土)22:00~(BS1)
10/17(日)10:05~(総合)
10/19(火)24:15~(関西総合)
10/24(日)24:00~(BS1)
9/25より公開  熊沢尚人監督「君に届け」 出演
9/18より公開  羽住英一郎監督「THE LAST MESSAGE 海猿」 出演
4/10より公開  石原興監督「獄(ひとや)に咲く花」 出演
3/13より公開  谷口正晃監督「時をかける少女」 出演
CF  「セイロガン ト-イA」
CF  FUJITSU「夢をかたちに(社会システム空港篇)」
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幻の魚 いとう(後編) / 2006年08月03日

テニスを愛する皆様、ご機嫌いかがですか?勝村政信です。
早いもので、八月です。長かった梅雨も終わり、太陽が普通に顔を出しています。太陽ってこんなんだったのか?ってな感じですね。
夏がぴたぴたとやって来ました。
天の邪鬼のあちきとしては、「真夏日」とかいう言葉がどーもしっくりこなくて好きではないんですが、たくさん使われるんだろーなー。
なんだ「真夏日」って。30度を超えると真夏日。なんだそれ?
絶対納得出来ない。梅雨ってのも色っぽい響きが素敵なんだけど、梅雨入りとか梅雨あけがいや。梅雨だけでいーじゃん。何時梅雨になろーが、何時梅雨があけようがいいじゃん。どーして枠をつくりたがるんだろー?
どーしてみんなで一緒にならないといけないのかな?
僕は中学生の時からサッカーをやり続けている。
高校の時の夏の合宿なんか今思い出すのも嫌なくらい辛かった。
おじちゃんになった今でも、真夏に毎週試合も練習もやっている。
30日にもシニアの大会で試合をした。前の日の土曜日は雨で中止になったけど、アップはやった。先週も試合した。だから30度超えてても未だに大丈夫だし、冷房なんか自分じゃつけない。「のぼるくん」のために除湿しているくらいである。(ふざけんな!犬。自分で体温調節しろ)
出来ないんだね。これが。横で鼾かいて寝てますが、、、

寝てる、のぼるくん

寝てる、のぼるくん


だから僕は30度超えてようがなんとも思わない。
なのに、「真夏日」なんてカテゴリー分けされると、普段の会話の中に、「真夏日が何日も続いてたいへんですね~」なんて言われたら、「本当ですね~」なんて答えてしまう。
ざっけんな!俺!ひよるな!俺!
だから会話が嘘くさくて、人と話がしずらくなってしまう。
真夏日は何もしていないのに、悪者扱いだ。
共同体の必殺技。

「スケープゴード」

何かを、誰かを生け贄にして結束を固める。くそっくらえだ。
他にもたくさん納得出来ない言葉があるんだけど、長くなるから書かない。でも、せめてぼやきたい。ぼやき倒したい。人生こうろ師匠が懐かしい。
キング・オブ・ぼやき。人生こうろ師匠。いて欲しいな~。

人生師匠じゃないけど、(人生師匠って言い方もへんだね)いつまでもいて欲しい人ってたくさんいますね。
浅越さんもその一人でした。日本人のテニスプレーヤーで世界レベルで戦える人ってそんなに多くないでしょ。本当に凄いことなんだけど、ちゃんと国のレベルで評価して欲しい。
しかも、個人競技。
どれほどの精神力の強さを持っているのか想像すらできない。
浅越さんを目指してテニスを始めたり、諦めたりした若者がたくさんいると思う。
そんな若者が、成長し、ウインブルドンで勝利した時に、「今自分がここにいるのは、浅越さんのおかげです」なんて言って欲しい。
テニスを諦め、企業を起こした人も「自分が今あるのは、テニスの浅越さんがいたおかげなんです」なんて社員の前で言って欲しい。
僕個人は、なんかの試合の後に「ありがとう」なんて言ってるのが、本当に嫌なんだけど、自分に影響を与えてくれた、「人」や「試合」には未だに感謝している。そして違うかたちでお礼や感謝の意を表しているつもりだ。

浅越さん、お疲れ様でした。
世界中に浅越さんに影響を受けて成長している人がたくさんいます。
あなたは僕ら地球人の誇りであります。
もちろん誇れる人は他にもたくさんいます。
でも間違いなく、あなたはその中の一人です。
あなたの勇姿は、僕らの胸に深く刻み込まれています。
生涯忘れることができないでしょう。

実は、この文章がみなさんの目に触れている時に、僕は沖縄にいます。もちろん仕事で。
沖縄との付き合いは非常に古い。
僕が小学生の時に海洋博をやっていて、町内会を代表して連れて行ってもらったのが最初だから、31年の付き合いってことになる。
それからも数えきれないくらい行かせてもらっている。

去年も縁があって沖縄の離島に、撮影でかなり住んでいた。
やはり離島は、観光で行くのと生活をするのでは全く島の顔が違う。
と思ってたけど、全然かわらなかった。日差しを避けるか受けるかの違いくらいで、ほとんど同じ。笑っちゃうくらい。
住んでる人は素敵だし、何か焦った感じがないんだね。これが。
宮古島に行った時は、車が全部30kmくらいしか出していない。
自転車みたいだった。

僕は西表にずっと泊まっていたんだけど、この話もちゃんとまとめて書きたいと思っている。

今回はスローライフをしている人に会いに行くんだけど、それは来週にでも報告します。

そーいえば、28日にカブトムシを捕りに行って来ました。今週は「いとう」の完結編だから、来週の後半にでもカブトムシの話を書きます。さらに長い長い話になるとは思いますが、我慢して下さい。
一昨年に個人で初めて行って、去年は僕が舞台をやってたから行けなかったんだけど、久々に行って来ました。メンバーは、杉本哲太ちゃん。河相我聞ちゃん。
北村一輝ちゃん。松重豊ちゃん。(今回欠席)兵藤ゆきさん家。(今回欠席)
後、専門家のみなさま。それに子供たち。
大体20人くらいの大所帯。興奮したな~。今回も。
これも続編かなんかで文章にしちゃおうかな。みんなまとまった休みがとれないから、仕事の隙間にちょちょいと夏休みしちゃうんだけど、これがまたとても楽しい。
そんな訳で、あと一ヶ月の夏をそれなりに楽しみましょう。

それでは、今週もがんばって生きて行きまっしょい!


『幻の魚 いとう』 完結編。

最後の日、この日もベロベロでボートに乗った。
川をボートで下っている時に、「いとう」を釣りに来ている地元の一行に出会った。
中の一人が夕べ「いとう」を釣り上げたと言っている。
見せてもらうと、なんと!1、6メートルの化け物「いとう」だった。

酔いが醒めた。

これだ!僕らが求めていたものは。
いたんだ!幻!いたんだ!化け物「いとう」!

テンションが一気に上がった。

釣り具を見せてもらった。
自分達で作った質素な釣り具だった。
ルアー(疑似餌)も手作りの発砲スチロールを削ったもので、「ねずみ」の形をしていた。流石に地元の人だと思った。
地元では、このルアー(疑似餌)が主流みたいだった。
僕らの釣り具を見せると目を丸くして驚いていた。
僕らの釣り具は、もちろん日本のメーカーで、竿も数種類。
ルアー(疑似餌)も色とりどりに輝き、種類豊富で美しかった。
「凄い!」地元の人達はとても驚いて「こんな凄いのは初めて見た。」と口々に言っていた。
釣り具では完全に圧倒していた。

初めて見る美しく輝く釣り具達。
嫉妬と羨望と驚愕の目で釣り具を眺める地元の人達。
しかし、化け物「いとう」は地元の人達の前にある。

一通り感動してから地元の人は言った。
『本当に凄い。素晴らしい。見た事もない美しい釣り具だ。だけど「いとう」もこんなきれいなルアー(疑似餌)を見た事がないから、怖がって逃げてしまうよ』

僕らは死後硬直した様に誰も動かなかった。

漆黒の闇夜の意味がやっとわかった。
「いとう」は漆黒の闇夜を泳ぐねずみ等を襲って食べる。
ねずみはキラキラ光ってはいない。
道具ではなく、努力と技術で釣るのだ。

僕らは硬くなったままボートに乗り込んだ。
しかしこれで最後なのだ。落ち込んではいられない。

するとコーディネーターが、「僕もそー思っていたんだけど、言わなかった。あなた達にはあなた達のやり方があると思ったからね(ウインク)。このルアー(疑似餌)のほうがいいよ。」と手作りのルアー(疑似餌。ねずみくん)を貸してくれた。

僕らの身体は超合金になった。もーこれ以上硬くはならない。

借りたルアー(疑似餌。ねずみくん)で始めた。
しばらくするとコーディネーターは「それから、○○(寡黙なおじさんの名前)にはあまり飲まさない方がいい。彼は酒癖が悪くて、昔、人を殴り殺している。ようやく出所して、今は誰もいないこのキャンプ場で働き始めたんだ。」

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

僕らはダイヤモンドより硬くなった。


何が赤鹿だ!

何が熊だ!

何が虎だ!

すぐ横にリーサルウエポンがいたのだ。

笑うご機嫌さんに殴り殺される所だった。
よく無事でいられたもんだ。夜に釣れなかったから助かったんだ。
魚がたくさん釣れていたら、釣れた魚に乾杯して、ウオッカがぶがぶ飲んで酔っぱらって、素敵な酒癖が発揮されて、僕らの誰かが殴り殺されていたかもしんなかったんだ!

僕は悲しくないのに泣いていた。

僕らは全員同時にコーディネーターに殺意を抱いた。
おめえ、なんで最後の日にいうんだよ!
飲ますなよ!最初から!ウエポンに!


結局「いとう」は釣れなかった。
でもそれでよかったのだ。
幻は幻のままで。

圧倒的な自然。いや、動物だけが住んでいる「空間」
その匂いに包まれただけで、僕は満足だった。
見たことのない景色。
聞いたことのない音。
嗅いだことのない匂い。
感じた事の無い恐怖。

ほんの数日だったけど、人間って研ぎ澄まされるんだなと感心した。
生きる=恐怖
恐怖と言うフィルターを通して行動すると、普段には感じない別次元の事を感じる。

生きている事をダイレクトに感じる事が出来た。

帰路でもたくさんの風景が、僕の身体に張り付いた。
空港に戻るために、12時間かけて車で移動している途中の外に広がる、見た事の無い灰色の景色。
川に橋が無く、対岸をワイヤーで繋いだだけの簡素なつくりの、電動で動く朽ちかけた「筏」に、車ごと乗り込み川を渡る、不思議な乗り物に乗ったり、ウラジオストックの空港で、丸椅子に座り手作りのピロシキを売るお母さん達をたくさん見かけたり。
一応、国際空港のはずなんだけど。

一生涯忘れる事が出来ない。
今でも身体に張り付いている。
決して、色褪せる事はない。

そして、陽気に微笑む寡黙なウエポンも、違った。寡黙なおじさんも、もちろん忘れる事が出来ない。

エッセイ風 | 投稿者 勝村政信 17:05 | コメント(14) | トラックバック(1)