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勝村政信プロフィール
俳優。「天才たけしの元気がでるテレビ」で注目を浴び、その後演劇活動をメインに行い現在に至る。飄々としたスタイルで芸幅の広さをアピールする一方、舞台演技の評価は高い。最近では「ラスト・クリスマス(フジテレビ)」、「HERO(フジテレビ)」、「義経(NHK)」等に出演し活躍している。趣味はサッカー、テニス、フィットネスなどスポーツ全般。
出演情報
レギュラー  TVasahi「ナサケのオンナ~国税局査察官~」 出演

毎週木曜21:00~21:54
ナレーション  NHK「スポーツ大陸 一歩一歩に魂こめて~競歩 山﨑勇喜~」 OA
10/16(土)22:00~(BS1)
10/17(日)10:05~(総合)
10/19(火)24:15~(関西総合)
10/24(日)24:00~(BS1)
9/25より公開  熊沢尚人監督「君に届け」 出演
9/18より公開  羽住英一郎監督「THE LAST MESSAGE 海猿」 出演
4/10より公開  石原興監督「獄(ひとや)に咲く花」 出演
3/13より公開  谷口正晃監督「時をかける少女」 出演
CF  「セイロガン ト-イA」
CF  FUJITSU「夢をかたちに(社会システム空港篇)」
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男30歳 / 2006年05月31日

テニスを愛する皆様、ご機嫌いかがですか?勝村政信です。いよいよ全仏も始まり、テレビにかじりつき、アドレナリンが出まくっているんじゃないでしょーか?テニスももちろんそうですが、スポーツの試合中の選手が集中している時の「静寂」って、ちょっとたまんないですよね。球技だと、テニスでサーブの前のトスをあげる前とか、ゴルフのグリーンで長いパットを打つ前とか、サッカーでロナウジーニョが相手を抜く前の瞬間とか。空から天使がなだれこんで来るみたいな気がします。全身に空を飛べるくらいの鳥肌が立ちます。トップアスリートが自分を削る様な練習をして、鋭利な刃物の様になり、トップコンディションに作り上げ、競い合う。しかも、天候、グラウンドコンディション、他にも日常の細かい事が勝敗を左右する。つい先日もシャラポワをハトが助けてくれたり、、、有機的なスポーツならではの醍醐味です。

僕も、昨日で舞台が無事千秋楽を迎え、ちょっと息を吸えている感じです。

僕らも一応プロと呼ばれていますが、毎日稽古するわじゃないし、毎日言葉や発音を練習するでもないし、毎日身体を鍛えるわけでもないし(ま、役者が全員身体鍛えていて、全員がムキムキマッチョだったらそれはそれで変だけど)だから、スポーツのトップアスリートの戦いを観る時には、軽い嫉妬と羨望を感じています。もちろんゲーム観戦中は全身鳥肌だらけですが、、、
たまにこのまま飛べるんじゃないか?なんて思うときもあります。ま、鳥は肌で飛ぶ訳じゃありませんが、、、
とにかく、決勝まで鳥になりっぱなしで、最高峰のテニスを堪能したいと思っています。

で、鳥になっている今回は、30歳の時に出会った、色々な事柄について書いてみました。


『男30歳』

30歳の時色々考えた。男が30歳を迎える。唯事ではない。10代、20代は男の子である。男は30代からが「男」である。と思う。沢山の経験を積み、男としての歴史が始まる。僕は役者である。これからどんな男の役が迎えに来てくれるか想像も出来なかった。ある大手プロダクションのプロデューサーが会いたいと連絡をくれた。期待に胸膨らませ、待ち合わせのテニスコートの見える喫茶店に足を運んだ。舞台の話だった。「あなたにやって頂きたいのはこの役なんですが。」分厚い台本をいただき、役の名前に目を通した。

「もぐらのモーリー」と書いてあった。

もぐらのモーリー

目の前が暗くなった。何度読み返しても「もぐら」と書いてあった。

30歳を迎えた男に最初に来た役が「もぐら」。僕が演劇を始めたのは、世界的にも有名な蜷川幸雄さんの劇団である。その後も鴻上尚史さん率いる第三舞台と言う超人気有名劇団に入り、木野花さんや、宮本亜門さん、鈴木裕美さん、鈴木勝秀さん、野田秀樹さん、岩松了さん、串田和美さん、福田陽一郎さん、内藤裕敬さん等々、演劇界を代表する、才能溢れる演出家と一緒に仕事をしてきている役者である。なのに「もぐら」。

飲んでいたコーヒーの味もわからず、相手の話も聞こえず、ただ時間が四角く流れて行った。家に帰って台本を叩き付けた。

数日後、ロンドンから演出家がわざわざやって来て、テニスコートの見える喫茶店で会う事になった。戯曲や演出、海外でのこの舞台の評判などを細々と説明された。どーしてもあなたにこの役を引き受けて欲しいと懇願された。何を飲んでいたかもわからず、演出家の説明も通訳の言葉も耳には届いて来なかった。ただ、喫茶店から見えるテニスコートで行われていた、ミックスダブルスの試合で、セルジオタッキーニの白いワンピースを着た女性のバックハンドのボレーに心奪われていた。

結果、引き受けてしまった。

数日の間、僕は仮死状態にあった。抜け殻になってしまった。

気がつくと、大きなやどかりの様なものに、僕の身体は不法に占拠されていた。

自分の中に住み着いた異物はさらに大きくなり、僕を内側から引き裂いた。30歳を迎えた男の初めての役は「もぐら」であった。

根津甚八さん


ちなみに、相手役のひきがえるは根津甚八さん。ねずみが布施明さん。あなぐまが仲谷昇さん。物凄いメンバーである。しかもかなり評判が良かったみたいで、 どんな作品も再演をしないと決めていた僕が、2年後に再演までしてしまった。

今でも少し気を許すと、あの時のやどかりの様なものが僕の身体でうごめき始める。


エッセイ風 | 投稿者 勝村政信 14:03 | コメント(25)| トラックバック(0)

掘りごたつ / 2006年05月24日

テニスを愛する皆様。如何お過ごしでしょーか?勝村政信です。早いもんで、もう一週間がたちました。本当に早い。僕のブログは基本的に水曜日に更新して行くつもりです。時間があれば、日記風にもっと短いスパンで書くかもしれませんが、当面は週に一度でお願いします。

僕は相変わらず舞台の真っ最中です。久しぶりに、おもいっきり舞台を走り回り、飛び回り、富士山を登りながら暴れ回り、薙刀を振り回しって、こんな風に書いているとどんな舞台なんだか訳わかりませんね。ま、観た人にしかわからないと思いますが、そんな舞台です。全然、説明になってませんね。

今月はあまり天気がよくありませんが、曇りの日には、雨の匂いに身体を包まれるし、雨の日には土や、木々の匂いに身体を包まれます。それはそれで悪くない。都会にいると身体が鈍感になります。目を閉じるだけで、音や匂いが身近に溢れているのに気が付きます。ちょっとした事で、景色や心持ちがガラリと変わります。ちょっと目を閉じてみてご覧なさい。それだけで日常と非日常が曖昧になって、異次元に冒険が出来ますよ。

二回目は、最近飼い始めた犬を見ていて色々思い出した事を書いてみました。


『掘りごたつ』

突然、犬を飼う事になった。

フレンチブルドッグ。生まれて3ヶ月。

母親は真っ黒で、いつも鼾をかいている様な呼吸をしている。あまりにブサイクなので、飼い主の友人がせめて名前だけでもと、吉永さゆりさんから名前をいただいて、「さゆり」と名付けた。

少し泣きそうになった。

そのさゆりが、なんと子供を6匹も産んだ。さゆりは少し小さめのなので、病院の先生も驚いていたと言う。

中に1匹だけ白い子供がいた。その子はとても気が弱く、物心ついた頃には兄弟達にいじめられていた。

心配した飼い主が、「醜いさゆりの子」と呼んでいた。

少し泣きそうになった。

何故かその醜いさゆりの子が我が家にやって来た。テニスボールで遊ぶのが大好きである。

名前を「のぼる」と言う。さゆりの飼い主が仮名として呼んでいたのをそのまま名付けた。「のぼる」。

少し泣きそうになった。

のぼる
生き物を飼うのは、人生で3度目だ。

最初が二十日鼠。

名前は、シロだったか、チューだったかはっきりしない。買って3日くらいで、掘りごたつに入れていたら何処かにいなくなっていた。掘りこたつを登って来るのがとてもかわいらしかった。

次はだるまインコ。

猫屋敷と呼ばれていた祖母の家で、庭で作業していた祖母の肩に不時着した。鳥かごを買って2、3日飼っていたが、常に4、5匹の猫が取り囲む為、不憫に思った祖母が長男の父に託したのであった。

「名無しの権兵衛」だったので、「ゴン」と名付けられた。

よくしゃべるインコだった。機嫌がいいと必ず「おばーちゃん、クッキーちょーだい。」と言った。クッキーはあげなかったが、ひまわりの種を器用に剥いてよく食べていた。

ある年の冬、風邪をこじらせ虫の息になった。鳥なのに。病院にも連れて行き、みんなで懸命に看病した。

寒い日だったので、母が掘りごたつの中に入れ暖めてあげていた。母は同じ掘りごたつで暖まっていた僕と兄に、熱いレモンティーを入れてくれた。熱いレモンティーをこたつの上に置こうとした時、「ゴン」の悲鳴が聞こえた。母は熱いレモンティーに気を取られ、「ゴン」の存在を一瞬忘れてしまった。母の足の裏で「ゴン」は静かに息を引き取った。

それから数年、僕は掘りごたつを見ると少し泣きそうになった。
エッセイ風 | 投稿者 勝村政信 11:07 | コメント(22)| トラックバック(0)

消えない日焼けの跡 / 2006年05月17日

白夜のワルキューレ

テニスを愛する皆様、初めまして。勝村政信です。今日から僕のブログがスタートします。何を書いても良いと言われたので、今、僕が考えている事や、過去にあった事、疑問に思った事、等々、思いつくままに書いて行きます。自分自身の中に冒険旅行して行きます。こうしてPCの前に座って書いいると、自分でもこんな事を考えていたんだとか、そんなふうに感じたりしているんだな~と不思議な気分になります。今は、渋谷のシアターコクーンで舞台の本番中です。野田秀樹作、蜷川幸雄演出。「白夜のワルキューレ」という作品です。そんなテンションの時には、普段とはまた違った角度から物事を考えたり感じたりしているので、自分でもかなり楽しんでます。日記なのか?エッセイなのか?純文学になるのか?演劇的なものになるのか?どんな事になるか自分でも全くわかりませんが、少しでも皆様に楽しんでいただけたら光栄です。

第一回目は、僕が就職していた頃の話にしてみました。僕は高校を出てスポーツ用品の問屋で働いていました。だからテニスに限らず、どんなスポーツにも精通していました。商品はもちろん、地方のスポーツショップにも精通していました。当時は、高田馬場にエコースポーツという(残念ながら今はありませんが) スポーツショップがあり、そこで働いている方達や、関係者の方達に本当にかわいがっていただきました。夏はテニス、冬はスキー、休みの日にはだいたい遊びまわっていました。今でもお世話になっているくらいです。その頃にあった不思議な体験です。どーしても人に話したかったんでよーやく夢がかないました。


『消えない日焼けの跡』

22年前、横浜の先輩に海水浴に誘われた。

「夜に横浜駅近くの居酒屋に集合して飯食って呑んで、朝から海で遊ぶぞ。」と言われた。
行ってみると、先輩二人と女性が二人、四人で盛り上がっていた。
朝まで呑んで、車で出発した。(先輩の一人は酒が呑めない)

車の中で気を失い、先輩の「着いたぞ。」の声で目を覚ますと、そこは軽井沢のテニスコートだった。
軽い目眩を覚え、夢と現実の区別が曖昧になった。
4人とも純白のテニスウエアーを身にまとい、真新しいテニスシューズを履き、笑顔まで純白に見えた。

「お前も着替えろよ。」先輩に言われ、僕は海パンとビーチサンダルになった。
日焼け止めクリームを塗るかどうか迷ったが止めておいた。

4人とも中々の腕前で、白熱した試合が展開されている。
僕の白い肌が真夏の太陽を浴びて、熱を帯び始める。

「よし、じゃあ次お前やれよ。」
先輩のDONNEYのラケットを借りて試合に参加した。

海パンにビーサンにDONNEYのラケット。
誰も何も言わない。
何かが僕の頭の中で動いたような気がした。

また軽い目眩がした。

すぐにビーサンの鼻緒が切れた。
裸足になった。
焼けたコートが僕の足の裏を焼く。
すぐに僕の足の裏の皮が大きく破けた。
皮膚のすぐ下の真新しい、真っ赤な皮膚が出て来た。
綺麗な色だと思った。
それからは先輩達の試合をずっと見ていた。
誰も何も言わない。

夕方近くに帰る事になった。
僕の身体は、海水浴に行った様に日焼けしていた。
エッセイ風 | 投稿者 勝村政信 15:00 | コメント(29)| トラックバック(0)