無題 / 2010年10月22日
テニスを愛する皆様、ご機嫌いかがですか?勝村政信です。
涼しくなってきました。あの燃える様な猛暑がこないだまでそこかしこにいたのに。もう二度と涼しい日なんか来ないと思っていたのに。
秋の野郎、ちゃんとやってくんじゃんか。
羽田の野郎、海外連れてってくれんじゃんか。
文具券の野郎、有効期限あんじゃんか。五千円分無駄にしたじゃんか。
ナサケの女の野郎、視聴率いいじゃんか。
我が家のハイビスカスの野郎、まだ咲きまくってんじゃんか。
娘とやったUFOキャッチャーの野郎、800円でたくさん取らしてくれたじゃんか。
近所の野良猫野郎、ウンコし過ぎじゃんか。落ち葉の野郎、掃除大変じゃんか。
紅葉の野郎、きれいじゃんか。この野郎、いい季節じゃんか。
くんの四季の野郎、それぞれいい味だしてんじゃんか。
日本の野郎、なかなかのもんじゃんか。
そんな訳で、最終回じゃんか。
さあ、いよいよ最終回でございます。
元々はこのアフリカの体験を書くつもりが、随分遠回りしてしまいました。でも、実際にもアフリカまで遠回りしたことが、一生忘れることができない、貴重な体験になっております。イレギュラーな行動は、実は現代では最も必要なことなのではないかと思っています。
誰かが用意してくれるスケジュールは、作者の想像や経験を超えることが出来ません。思い立って、立ち止まって、自分で考えて、進み続けるエネルギー。最近、忘れていませんか?「やさしさ」「ありがとう」「感動」「涙」「感謝」など、誰かに用意してもらっていませんか?
まったく知らない人と、まったく別な文化と、まったくわからない言語。自分の経験や思いなど、なんの役にも立たない。その場所で生きるために、必要なことだけ考える。海外に限らず、自分だけの旅。自分だけの生き方。そんな人生の旅を、僕は続けているような気がします。
なんて偉そうなこと書いていると、また終わらなくなるので始めちゃいましょう。
後輩のレンタカーが、パリの空港シャルルド・ド・ゴールの駐車場に到着。思い起こせば、ここにキムタクのおじさんがたくさんいたなぁ。(いないよ)
縦列のバックでちょっとぶつけていたが、何食わぬ笑顔で「無事、着きました」と言った。
「お前ちょっとこすったろ?」と言うと、「急いで下さい、ギリギリなんだから!」と少しむっとしながら怒られた。
「ここから先には、僕は行けませんから。あにぃ、本当に楽しかったっす。ありがとうございました」と、少し声を詰まらせながら後輩が言った。
そりゃぁ楽しかったろう。宿泊から、飯から、お土産から、すべておごってやって、お小遣いとして余ったユーロまであげたんだから。(宿泊代は、後輩がインターネットで予約してくれたおかげで、すべて半額だった)
「この穀潰しが!」と小声でささやいて別れた。まぁ、先輩後輩なんてこんなもんですよ。(違う気もするが)気がついたら、忘れていた不安が蘇ってきた。とにかく、マリの首都バマコまでは一人なのだ。
ラウンジでお茶していたら、いきなりボブ・サップみたいな(懐かしい)巨大なアフリカ人が僕の前にきて「アー・ユー・ミスターカツムラ?」と話しかけてきた。こんなところにまで僕を知っている人がいるんだ?と調子に乗っていると、「コーディネーターのサコです」ときれいな日本語で喋り始めた。
制作会社から、「現地ではさこさんが通訳です」と聞いていた。まさかマリ人の名前がサコとは思わなかった。無事にバマコの空港に着いた。羽田よりも随分小さく、ほとんど何もない。でも、初アフリカ。第一歩目をゆっくり踏み出そうとしたら、サコが笑顔で「こっちだよ」と背中を押すもんだから、適当な第一歩になってしまった。トホホ。
第一日目。とにかく暑い。そして言葉では表すことが出来ないくらいのエネルギーが石粒のように身体にぶつかってくる。
ポケットに入れた温度計を見ると、36度くらいだった。あれ?と思ってそのまま外の石の上に置いといたら、50度になっていた。体温の方が外気より低いから、ポケットの中が「アイスノン」状態で、温度計が冷えていたのだ。
すごいでしょ。この暑さなのに、ほとんどの人が外にいる。なんだか仕事をしている。都市部にはまぁ、所謂、家があるけど、ちょっと離れるとほとんどが赤い土で作られた手作りの粘土細工のような家なのだ。家で過ごしている人はほとんどいない。
僕は今まで、アフリカを勘違いしていたことがよくわかった。広いアフリカ大陸には、いろんなアフリカがあったのだ。野生動物の国だけではない。
サコが「マリはお前達にはつまんないぞ。猿の脳みそ食わないし、でっかい幼虫も食わないからね。がっはっは」と笑った。基本的に、マリで野生動物はほとんど見かけない。ぞうの保護区を通ったけど、サコは「まぁ運がよければ見れるかもしれない」だって。
らくだもたまに見かけたけど、足かせがついていて、遠くに行かないようにしてある。家畜なのだ。牛もヤギもみんな家畜。マリの意味のカバも、マリの人も映像で見るほうが多いらしい。
マリの主食は「米」。しかも日本人より「米」を食べている。マリへは、この「米」に関する取材で行ったんだけど、想像を遥かに超えていた。
農家を訪ねると、普通の田園風景が続いている。日本にいるみたいだ。唯一違うのは、田んぼの中に、バオバブの木が立っている。ちょっと笑える。
取材は「浮き稲」という川の中で育つ稲、しかも、茎の長さが5メートルにもなるものを探しにいったのだ。とにかくスケールが違う。
川の水がなくなっている乾期に種を蒔く。雨期にすんごい量の雨が降って川が氾濫して、8メートルくらい水がたまるらしい。で、3メートル位水が引くと、水のなかった川が川に戻る。
その頃、蒔いた種が発芽するんだけど、芽が空気に触れるには5メートルの水から頭をださなければならない。で、茎ががんばって5メートル伸びて、葉が空気に触れて、しっかり呼吸出来るようになる。
簡単に説明するとこうなるんだけど、稲ってすごいでしょ。で、実際に稲穂が実るのは、川の水面。で、船に乗ってたわわに実った、水の上の稲を収穫する。
日本にいたら想像も出来ないことが、当たり前に行われている。地球ってすごい。アフリカに行くと、星の単位で物を考えることが出来る。僕らは星に住んでいる。奇跡や偶然を目の前で感じることが出来る。
都会以外は真っ暗。何にも見えない。歩いていると、すぐ横に人がいたりする。現地の人は、ちゃんと見えているらしい。人間のスケールも違う。
いつの間にか、心のエネルギーが満タンになっている。三日目くらいに、マリ人のサコが苦しそうに「勝村さん、正露丸の宣伝やってるだろ?持ってないか?昨日の夜からお腹の調子が悪いんだ」だって。
僕は笑いながら、成田空港で買った薬を箱のままあげた。今回の旅も生涯で二度はない。今でも眼をつぶると、すべてが鮮明に思い出される。これだから、僕は海外の旅がやめられない。今後、何回こんなイレギュラーな旅が出来るかはわからない。でも、いつでも出発出来る準備は整っている。
終わり。
追伸。上機嫌で日本に戻った僕に、凄まじい下痢が襲いかかってきた。正露丸あげなければよかった、、、(買えよ)
本当に終わり。
そんなこんなで、ありがとうございました。またそのうち、宿坊のことでも書こうかなと思っています。(本当か?)
奥野の行動が僕を動かしてくれました。最終的に、あいつが久しぶりにCD出して、ライブをやってくれる日を夢見て、普段通りにやっていきます。ほんで、またしばらく「プリティバカンス」させてもらいます。
そんな訳で、あとちょっとの2010、がんばって生きていきまっしょい!
涼しくなってきました。あの燃える様な猛暑がこないだまでそこかしこにいたのに。もう二度と涼しい日なんか来ないと思っていたのに。
秋の野郎、ちゃんとやってくんじゃんか。
羽田の野郎、海外連れてってくれんじゃんか。
文具券の野郎、有効期限あんじゃんか。五千円分無駄にしたじゃんか。
ナサケの女の野郎、視聴率いいじゃんか。
我が家のハイビスカスの野郎、まだ咲きまくってんじゃんか。
娘とやったUFOキャッチャーの野郎、800円でたくさん取らしてくれたじゃんか。
近所の野良猫野郎、ウンコし過ぎじゃんか。落ち葉の野郎、掃除大変じゃんか。
紅葉の野郎、きれいじゃんか。この野郎、いい季節じゃんか。
くんの四季の野郎、それぞれいい味だしてんじゃんか。
日本の野郎、なかなかのもんじゃんか。
そんな訳で、最終回じゃんか。
さあ、いよいよ最終回でございます。
元々はこのアフリカの体験を書くつもりが、随分遠回りしてしまいました。でも、実際にもアフリカまで遠回りしたことが、一生忘れることができない、貴重な体験になっております。イレギュラーな行動は、実は現代では最も必要なことなのではないかと思っています。
誰かが用意してくれるスケジュールは、作者の想像や経験を超えることが出来ません。思い立って、立ち止まって、自分で考えて、進み続けるエネルギー。最近、忘れていませんか?「やさしさ」「ありがとう」「感動」「涙」「感謝」など、誰かに用意してもらっていませんか?
まったく知らない人と、まったく別な文化と、まったくわからない言語。自分の経験や思いなど、なんの役にも立たない。その場所で生きるために、必要なことだけ考える。海外に限らず、自分だけの旅。自分だけの生き方。そんな人生の旅を、僕は続けているような気がします。
なんて偉そうなこと書いていると、また終わらなくなるので始めちゃいましょう。
後輩のレンタカーが、パリの空港シャルルド・ド・ゴールの駐車場に到着。思い起こせば、ここにキムタクのおじさんがたくさんいたなぁ。(いないよ)
縦列のバックでちょっとぶつけていたが、何食わぬ笑顔で「無事、着きました」と言った。
「お前ちょっとこすったろ?」と言うと、「急いで下さい、ギリギリなんだから!」と少しむっとしながら怒られた。
「ここから先には、僕は行けませんから。あにぃ、本当に楽しかったっす。ありがとうございました」と、少し声を詰まらせながら後輩が言った。
そりゃぁ楽しかったろう。宿泊から、飯から、お土産から、すべておごってやって、お小遣いとして余ったユーロまであげたんだから。(宿泊代は、後輩がインターネットで予約してくれたおかげで、すべて半額だった)
「この穀潰しが!」と小声でささやいて別れた。まぁ、先輩後輩なんてこんなもんですよ。(違う気もするが)気がついたら、忘れていた不安が蘇ってきた。とにかく、マリの首都バマコまでは一人なのだ。
ラウンジでお茶していたら、いきなりボブ・サップみたいな(懐かしい)巨大なアフリカ人が僕の前にきて「アー・ユー・ミスターカツムラ?」と話しかけてきた。こんなところにまで僕を知っている人がいるんだ?と調子に乗っていると、「コーディネーターのサコです」ときれいな日本語で喋り始めた。
制作会社から、「現地ではさこさんが通訳です」と聞いていた。まさかマリ人の名前がサコとは思わなかった。無事にバマコの空港に着いた。羽田よりも随分小さく、ほとんど何もない。でも、初アフリカ。第一歩目をゆっくり踏み出そうとしたら、サコが笑顔で「こっちだよ」と背中を押すもんだから、適当な第一歩になってしまった。トホホ。
第一日目。とにかく暑い。そして言葉では表すことが出来ないくらいのエネルギーが石粒のように身体にぶつかってくる。
ポケットに入れた温度計を見ると、36度くらいだった。あれ?と思ってそのまま外の石の上に置いといたら、50度になっていた。体温の方が外気より低いから、ポケットの中が「アイスノン」状態で、温度計が冷えていたのだ。
すごいでしょ。この暑さなのに、ほとんどの人が外にいる。なんだか仕事をしている。都市部にはまぁ、所謂、家があるけど、ちょっと離れるとほとんどが赤い土で作られた手作りの粘土細工のような家なのだ。家で過ごしている人はほとんどいない。
僕は今まで、アフリカを勘違いしていたことがよくわかった。広いアフリカ大陸には、いろんなアフリカがあったのだ。野生動物の国だけではない。
サコが「マリはお前達にはつまんないぞ。猿の脳みそ食わないし、でっかい幼虫も食わないからね。がっはっは」と笑った。基本的に、マリで野生動物はほとんど見かけない。ぞうの保護区を通ったけど、サコは「まぁ運がよければ見れるかもしれない」だって。
らくだもたまに見かけたけど、足かせがついていて、遠くに行かないようにしてある。家畜なのだ。牛もヤギもみんな家畜。マリの意味のカバも、マリの人も映像で見るほうが多いらしい。
マリの主食は「米」。しかも日本人より「米」を食べている。マリへは、この「米」に関する取材で行ったんだけど、想像を遥かに超えていた。
農家を訪ねると、普通の田園風景が続いている。日本にいるみたいだ。唯一違うのは、田んぼの中に、バオバブの木が立っている。ちょっと笑える。
取材は「浮き稲」という川の中で育つ稲、しかも、茎の長さが5メートルにもなるものを探しにいったのだ。とにかくスケールが違う。
川の水がなくなっている乾期に種を蒔く。雨期にすんごい量の雨が降って川が氾濫して、8メートルくらい水がたまるらしい。で、3メートル位水が引くと、水のなかった川が川に戻る。
その頃、蒔いた種が発芽するんだけど、芽が空気に触れるには5メートルの水から頭をださなければならない。で、茎ががんばって5メートル伸びて、葉が空気に触れて、しっかり呼吸出来るようになる。
簡単に説明するとこうなるんだけど、稲ってすごいでしょ。で、実際に稲穂が実るのは、川の水面。で、船に乗ってたわわに実った、水の上の稲を収穫する。
日本にいたら想像も出来ないことが、当たり前に行われている。地球ってすごい。アフリカに行くと、星の単位で物を考えることが出来る。僕らは星に住んでいる。奇跡や偶然を目の前で感じることが出来る。
都会以外は真っ暗。何にも見えない。歩いていると、すぐ横に人がいたりする。現地の人は、ちゃんと見えているらしい。人間のスケールも違う。
いつの間にか、心のエネルギーが満タンになっている。三日目くらいに、マリ人のサコが苦しそうに「勝村さん、正露丸の宣伝やってるだろ?持ってないか?昨日の夜からお腹の調子が悪いんだ」だって。
僕は笑いながら、成田空港で買った薬を箱のままあげた。今回の旅も生涯で二度はない。今でも眼をつぶると、すべてが鮮明に思い出される。これだから、僕は海外の旅がやめられない。今後、何回こんなイレギュラーな旅が出来るかはわからない。でも、いつでも出発出来る準備は整っている。
終わり。
追伸。上機嫌で日本に戻った僕に、凄まじい下痢が襲いかかってきた。正露丸あげなければよかった、、、(買えよ)
本当に終わり。
そんなこんなで、ありがとうございました。またそのうち、宿坊のことでも書こうかなと思っています。(本当か?)
奥野の行動が僕を動かしてくれました。最終的に、あいつが久しぶりにCD出して、ライブをやってくれる日を夢見て、普段通りにやっていきます。ほんで、またしばらく「プリティバカンス」させてもらいます。
そんな訳で、あとちょっとの2010、がんばって生きていきまっしょい!