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勝村政信プロフィール
俳優。「天才たけしの元気がでるテレビ」で注目を浴び、その後演劇活動をメインに行い現在に至る。飄々としたスタイルで芸幅の広さをアピールする一方、舞台演技の評価は高い。最近では「ラスト・クリスマス(フジテレビ)」、「HERO(フジテレビ)」、「義経(NHK)」等に出演し活躍している。趣味はサッカー、テニス、フィットネスなどスポーツ全般。
出演情報
レギュラー  TVasahi「ナサケのオンナ~国税局査察官~」 出演

毎週木曜21:00~21:54
ナレーション  NHK「スポーツ大陸 一歩一歩に魂こめて~競歩 山﨑勇喜~」 OA
10/16(土)22:00~(BS1)
10/17(日)10:05~(総合)
10/19(火)24:15~(関西総合)
10/24(日)24:00~(BS1)
9/25より公開  熊沢尚人監督「君に届け」 出演
9/18より公開  羽住英一郎監督「THE LAST MESSAGE 海猿」 出演
4/10より公開  石原興監督「獄(ひとや)に咲く花」 出演
3/13より公開  谷口正晃監督「時をかける少女」 出演
CF  「セイロガン ト-イA」
CF  FUJITSU「夢をかたちに(社会システム空港篇)」
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恩返し(続き) / 2006年07月09日

気を失っていた「うんこ」は、子猫達の「ミャーミャー」と鳴く名古屋弁で目覚めた。
刹那と永久の裂け目のような場所で「うんこ」は目覚めた。
(その前に、このまま自分を「うんこ」呼ばわりしていていーのかしらん?
「主」から「元主」。そして「うんこ係」。現在「うんこ」。
随分と簡単に落ちて行ったものだ。まるで人生。昇るのは大変だし時間がかかる。しかし落ちていくのは、まー、いーか。そんな事)

なんだ?こいつらは?

頭が揺れ、目が霞んだ。

少しづつ霧が晴れる様に意識が戻ってきた。
レンズのフォーカスが合う様に、世界の輪郭が一つになった。
子猫達は「ミャーミャー」名古屋弁で鳴き続けている。

軽い目眩を起こしている自分に気づいた。

「落ち着け」自分に言い聞かせた。

「落ち着け」と手のひらに3回書いて飲んだけど効果がなかった。
とにかく落ち着いて考えた。

素早く自分の脳の情報を集めた。
パニックを起こすのは、情報が足りないからだ。

考えながら左手の指を動かした。左脳だけでなく、右脳を多めに使いたいからだ。想像力をフル回転させなければ、目の前の現実を受け止めきれない。

Q1 何故、「黒茶くん」は網戸越しにとはいえ、人間に体当たりしてきたのか?
A 人間を憎んでいたから?
否。
Q2 何故、人ん家の、夢の劇場とはいえ、「黒茶くん」はあんなに堂々とデー
ンとし続けていられたのか?
A 生まれもってのジャイアン体質だから?
否。
Q3 何故、「黒茶くん」は小さめの身体なのに、お腹だけが膨れていたのか?
A 実は、猫相撲の世界で、舞の海と呼ばれていたから?
否。

自問自答を繰り返した。
が、答えは簡単だった。
メスだったのだ。
妊娠していたのだ。
子供を守る為に回りの全てを威嚇していたのだ。

「うんこ」(僕)は走った。トイレにではなく、台所に走った。
冷蔵庫を開け、ミルクをレンジで少し温め、子猫達にあげた。

黒茶さんファミリー

この写真は、3年前「はなまるマーケット」に出演した時に撮ったものです。
10日にまた出演するので、打ち合わせしてたらスタッフが持って来てくれた。
今回は写真出せないと思っていたのに、何と言う偶然!神が近くにいるね。
写真の窓の奥にある白いのが、牛乳の入ったお皿で、まわりの黒っぽいのが「黒茶さん」の子供達。



すると、「黒茶くん」、いや「黒茶さん」(女子だから)は、喜ぶどころか、 「うんこ」(僕)を激しく威嚇し、子猫達より先にミルクを飲みまくった。
何だ!こいつ?母親のくせに、大人げない。フン!

同じ事を数週間続けた。子猫達は、目も開き、身体もしっかりしてきた。

たくましく、がしがし成長して行った。

しかし「うんこ」(もー、ここからは僕って書かない)は、どーしてもかわいい子猫達を育てている父親気分になれなかった。

何故なら、物心ついた子猫達が、ミルクをあげに行く「うんこ」に対し、母親同様、全員で激しい威嚇を始めたからだ。
全員一丸となって、逆毛を立てて「フーフー」言っている。

「ミャーミャー」から「フーフー」
名古屋弁からレイザーラモンHG何かの先触れかと勘ぐったが、もちろん意味など無い。

こんなことがあっていいのか?
人格が、いや、「うん格」の崩壊の危機だ。
しかしうんこ(僕。そろそろ書いとかないと皆忘れている頃だろう)は頑張った。
親子の威嚇に動じる事無くミルクをあげ続けた。

がしがし育った子猫達は、それぞれ外出する様になった。
「黒茶さん」も現れる回数がぐっと減り、ついには、姿を消した。

子猫達も戻って来る時間や、数が減ってきた。

「うんこ」(僕)は複雑な想いに包まれた。

結局、一匹もなつかなかった。

子猫達もすっかり姿を現さなくなった。

寂寞感。うすら恥ずかしい言葉に包まれた。

しかし「うんこ」(僕)は、「主」(もちろん、僕)に戻った。(ややこしい)

感無量だった。

昔、かえるにされた王子が人間に戻った時に、こんな感情が湧いたのかも知れない。(違うな)

ある時、主は「夢の劇場」に小さな黄金色に輝く物を見つけた。

よく見ると、干涸びた金魚だった。

頭がパニクった。どんなに頭の中の情報を集めても左手を動かし続けても、パニックは収まらない。

そして最終的に、、、、主は見なかった事にした。

簡単に言えば、現実逃避。
だって訳わかんないんだもん。

さらに主は数日後、「夢の劇場」の奥に黒光りするぞうきんを見つけた。
「何だよ、こんなとこに」と思い、片付けに行った。
それは「ぞうきん」ではなく、死んだ大きなねずみだった。
主は気を失った。
                       続く。(もーいいか。)

気を失った主は、「黒茶さん」の夢を見た。
蓮の花が咲き乱れる池に浮かぶ、大きな白い貝の中で着物を着て、満面の笑みを浮かべた「黒茶さん」がお茶をたててくれた。

雷を受けた様に意識を取り戻した主は、理由がわかった。

それは、猫の「恩返し」だった。

「恩返し」の方程式は、助ける=幸福になる じゃなかったのか?
ボランティア=ビッグハッピーは?
フエアー イズ マイ シャングリラ?

よくよく考えてみれば、「恩返し」のお返しの幸福は「両刃の剣」だった。

よひょうは、幸福をもらい、痛いくらいの悲しみを一生背負った。
浦島太郎は、大宴会のかわりに人生を失った。
僕なんかミルクのかわりに気を失った。(何だそれ?)
もちろん、一時的ではあるが、主というポジションも失った。しかも、うんこという称号まで戴いた。今月で43歳になろーとしているのに、、、

代償としては小さいが、引き裂かれた気持ちは他とかわらない(何せ、43歳で「うんこ」呼ばわりだ)しかも、幸福を手に入れるどころか、金魚もねずみも自
分で片付けた。掃除のおじさんだ。

希望なんて何処にもありゃしないんだ。

「恩返し」の方程式は間違っていた。

いや、「恩返し」には方程式など元々存在しないのだ。
いや、やっぱり存在した。(はっきりしろ)

幸せ=不幸せ
これが正しい「恩返し」の方程式だったのだ。
幸せの絶対量は決まっていたのだ。

「恩返し」とは、神の試練だったのだ。

愛の形を試されていたのだ。期待なんてクソだ。生きる事は戦いだ。
報酬を求める事など、神に対する謀反だったのだ。

「感謝だ!」

全ては感謝なのだ。
本当の「愛」とは、無報酬なのだ。
新宿のホストクラブでもないのだ。(説明しない。)
無報酬の「愛」こそ真実なのだ。

相手に何かを求めるから駄目なんだ。
人間は一人で生きる動物なのだ。
群れて楽しちゃ駄目なんだ。たまたま、まわりに人がいる。
だから楽が出来る。一人で生きて行くのは不可能だかんね。
その事に感謝して生きなければならなかったのだ。

何かを期待するから、金魚なんだ。死んだ大きなねずみだったんだ。

神様ごめんなさい。僕は間違ってました。
毎日全てに感謝して生きてゆきます。

最後に僕は一つだけ言いたい事がある。
こんな、自分でも想像さえしなかった長い長い文章を、時間を割いて読んでくれ
た皆様に心から感謝します。                  
                                 了
エッセイ風 | 投稿者 勝村政信 01:16 | コメント(8) | トラックバック(0)